vol.15 ピアノ 清水和音
4月から5年間かけて10回の連続公演に臨む
評価の高い王道レパートリーと新境地の組み合わせ
「自分が弾くとどうなるかと楽しんで選曲」
1981年、弱冠20歳で、パリの名門ロン=ティボー国際コンクールのピアノ部門で優勝、以来、高い演奏技術に裏打ちされたスケールの大きい演奏に定評があり、これまでもピアノ界を牽引してきた。未来を担う数少ない人材である。しかも、日本にあまりいないダイナミックな音楽と、その考え方や言動も含めて、その一挙手一等足がいつも注目される稀有な存在だ。
そして、この2014年から18年までの5年間、春と秋、計10回にわたる「清水和音 ピアノ主義」というリサイタル・シリーズを行う。連続シリーズといえば、デビュー30周年の2011年にラフマニノフのピアノ協奏曲全曲コンサートや、ゲストを加えた5夜連続のコンサートで、室内楽などを加えて、その時点でのさまざまな活動を披露した。
「今回は、タイトルにもありますが、ピアノのソロということで、5年という長い期間をかけてじっくり、そしてゆっくりやっていきます。自分が得意にしている曲に加えて、これまでに弾いたことがない曲をかなりプログラムに入れたのもこのシリーズの特色です」
「普段のリサイタルですと、どうしても主催の方の要望などを考慮する必要があります。お客さまが聴きたいものをということで、レパートリーが限られてしまいます。それを繰り返すうちに、僕に対するイメージができあがってきて、レパートリーが固定してしまいます。そのため、30年以上同じような曲をずっと弾いてきているというのが現状です」
音楽界で信じられているピアニストの生き方は、徐々にレパートリーを狭め、巨匠になると、自らの定番レパートリーを深めていくものだと信じられているが、清水はそうではない。
「弾く方としては同じ曲ばかりではつまらない。弾きたい曲がまだまだたくさんあるので、自分でプログラムを決めました。決めるときは、弾いてない曲を体験しようということで、自分が弾くとどうなるかを考え、楽しんで選曲しているのです。演奏会が近づいてくるにつれて、初めての曲なので曲を覚えることから始めて、ここがうまく弾けなかったらどうしようとか、心配事が増えて本当にストレスを感じています」
そう言いながらも、チャレンジを楽しむかのよう。これまでに評価を受けている、ベートーヴェン、ショパン、リスト、ラフマニノフといった王道のレパートリーと新境地となる曲を組み合わせたプログラムが、どのような相乗効果を生んで、新たな世界を見せてくれるのだろうか。
Kazune Shimizu
1960年、東京生まれ。65年に桐朋学園「子供のための音楽教室」に入室、78年、17歳で第47回日本音楽コンクール第3位入賞。80年にはジュネーヴ音楽院に留学し、ルイ・ヒルトブランに師事。81年、20歳でパリのロン=ティボー国際コンクール・ピアノ部門で優勝。82年、デビュー・リサイタル。95年秋から2年をかけて行われたベートーヴェンのピアノ・ソナタ全32曲演奏会は高く評価され、ライヴ録音がリリースされている。2004年からショパンの全曲録音を開始。11年8月、デビュー30周年を記念して、ラフマニノフのピアノ協奏曲第1~4番を一度に演奏した。東京音楽大学教授。
清水和音 ピアノ主義
会場はいずれも 浜離宮朝日ホール(東京)
第1回 SPRING 2014
2014年4月19日(土)14:00~
スカルラッティ:ソナタ(6曲)、J.S.バッハ:パルティータ第2番
ラフマニノフ:エチュード「音の絵」
第2回 AUTUMN 2014
2014年10月18日(土)14:00~
ショパン:即興曲第2番、第3番
マズルカ第26番、第35番、第37番、幻想曲へ短調
スクリャービン:ピアノ・ソナタ第2番「幻想ソナタ」、第4番
リスト:巡礼の年 第2年「イタリア」より、
ペトラルカのソネット第47番、第104番、第123番、他
■問い合わせ:ローソンチケット 電話:0570-000-407