vol.76 広島交響楽団首席客演指揮者 クリスティアン・アルミンク
ミュージック・フォー・ピース・コンサートを指揮
パリ管やシンフォニア・ヴァルソヴィアから招聘
「『第九』の4楽章を具現化したコンサートです」
広島交響楽団のキャッチフレーズは「Music for Peace 〜音楽で平和を」。原爆を落とされた国際平和文化都市、広島のプロ・オーケストラとして、このキャッチフレーズを掲げて活動を続けている。
これを実践するコンサートの1つが、来年2月24日(日)に行われる「ミュージック・フォー・ピース・コンサート」だ。「世界的な平和発信のために海外オーケストラ奏者の招聘と交流」などの事業方針のもと、広響に加え、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団首席ティンパニ奏者のマティアス・ミュラー、パリ管弦楽団とワルシャワのシンフォニア・ヴァルソヴィアの2つのオーケストラから、ヴァイオリンとコントラバス奏者計4人が共演する。
指揮は昨年4月から首席客演指揮者を務めるクリスティアン・アルミンク。東京の音楽ファンには第3代新日本フィル音楽監督としておなじみ。
「ミュージック・フォー・ピース・コンサートは、とても重要なメッセージを送るコンサートです。音楽を通じて平和の大切さを伝えます。パリ管やシンフォニア・ヴァルソヴィアから参加して発信することが素晴らしい。ベートーヴェンが交響曲第9番の4楽章で伝えたかったメッセージ、『人類はみな兄弟になる』を具現しています。広響として世界に発信する重要な機会です。ニュースではさまざまな政治的なできごとが取りざたされていますが、世界にはもっと大事なことがあるのだ、と伝えることになるのです」とコンサートの意義を語る。
プログラムは、ドイツ後期バロックのグラウプナー、ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番、ベートーヴェンの交響曲第7番。ショスタコーヴィチはピアノとトランペットのための協奏曲で、ピアノのソリストは小曽根真、トランペットは広響の金井晶子が務める。
「マティアスにはベートーヴェンでもティンパニを叩いてもらいます。ショスタコーヴィチで広響には素晴らしいトランペット奏者がいることを知ってもらいたい。この曲は古典的なコンチェルトのスタイルで書かれていますが、ジャズの影響が少しあります。マコトとは知り合いだったのですが、初めて共演できることがうれしい。ジャズピアニストの小曽根がどう料理するか興味深い」と話した。
来年8月の「平和の夕べ」コンサート、2020年3月に予定されている次の「ミュージック・フォー・ピース・コンサート」を指揮することも決まっている。「平和の夕べ」コンサートでは細川俊夫の新作チェロ・コンチェルトなどを演奏。「ミュージック—」ではベートーヴェンの三重協奏曲などで、ピアノは同響の平和音楽大使を務めるマルタ・アルゲリッチ。これからもアルミンクと広響の絆はますます太くなっていくに違いない。
Christian Arming
ウィーン生まれ。ウィーン国立音楽大学でハーガーに学んだあと、ボストンの小澤征爾のもとで研鑽を積み、ヤナーチェク・フィルの首席指揮者、ルツェルン歌劇場およびルツェルン交響楽団の音楽監督などを経て、2003年から13年まで新日本フィルの音楽監督を務めた。11年より、ベルギーの王立リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督。これまでにベルリン・ドイツ響、ザルツブルク・モーツァルテウム管、ウィーン響、サンタ・チェチーリア国立管、N響などに客演。17年4月広島交響楽団首席客演指揮者に就任。
■Music for Peace Concert
ベートーヴェン生誕250年プロジェクト/2016-2020 and beyond
2019年2月24日(日) 15:00 広島文化学園HBGホール
指揮:クリスティアン・アルミンク
ティンパニ:マティアス・ミュラー(ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団首席ティンパニ奏者)
ピアノ:小曽根 真
トランペット:金井晶子(広響トランペット奏者)
グラウプナー:シンフォニア
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番
ベートーヴェン:交響曲第7番
■問い合わせ:広島交響楽団 電話082-532-3080