vol.103 ピアノ 藤田めぐみ
ベートーヴェンとショパンを極めるリサイタル
ベートーヴェンのソナタ第31、32番とショパン
「子供のころ、2曲がセットだと感じたのです」
「子供のころに聴いた際、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第32番は第31番の続きだと思っていました。2曲がセットだと感じたのです。今回は初めてのプログラムです。休憩なしに2曲を続けます。そして後半はショパンのピアノ・ソナタ第2番と第3番も続けて演奏します」
藤田めぐみは3、4月のリサイタルにとても意欲的なプログラムを組んだ。ここにたどり着くまでには相当な時間がかかったと話す。藤田は14歳でロンドンのメニューイン音楽学校に入り、イリーナ・ザリツカヤに師事するためにイスラエルのテルアビブ大学大学院、英国王立音楽大学大学院に通った。ザリツカヤはポリーニが1960年、ショパン国際ピアノ・コンクールで優勝したときに2位を取ったソ連のピアニスト。
「先生のまねをするのは得意でした。先生の演奏、注意を楽譜に一生懸命書き込み、完ぺきにまねしました。しかし、先生は2001年、私が30歳代半ばにお亡くなりになってしまったのです。教わった曲は弾けます。しかし、習っていない曲は、頭の中では理想の音が鳴っているのですが、イメージしたようには弾けませんでした。音楽にならないのです」
そこから自分の音楽を探す長い旅が始まった。音楽を深く考えることによって、やっと自分1人で音を見つけたのは10年ぐらい前のこと。
「たまたま欲しかった音が出ました。それからいろいろな音が出せるようになりました。演奏すると、お客様からいい曲ですね、と言われるようになったのです。音には意味があることに気づきました。自分で見つけた音が増えたのでショパンの『エチュード』が弾けるかもしれない、と2017年に全曲演奏会を行いました。ザリツカヤ先生に習ったのは10曲ほどで、私にとってはほとんどが新曲でした」
藤田の妹、藤田ほのかはチェロ、藤田ありさはヴァイオリンの演奏家。3人はフジタ・ピアノトリオとして活動し、マスタークラスを開いている。
「私が気づいたことを言葉で説明できるようになったので、マスタークラスを始めました。ベートーヴェン最後のピアノ・ソナタ第31、32番は偉大な曲、無理だと思っていましたが、ショパンの『エチュード』も弾けるようになったので、演奏することにしました。違うかもしれませんが、ベートーヴェンとショパンのソナタ2曲はそれぞれセットに思えるのです。私のベートーヴェンとショパンを聴いてください」
Megumi Fujita
ニュージーランド生まれ。14歳でメニューイン音楽学校に留学。テルアビブ大学大学院、英国王立音楽大学大学院で学ぶ。ベーゼンドルファー国際ピアノ・コンクール第3位、モントリオール国際ピアノ・コンクール第4位、ショパン国際ピアノ・コンクール・ディプロマ及びショパン奨学基金委員会賞。イリーナ・ザリツカヤのもとで18年近く研鑽を積む。2017年5月、ショパン「24のエチュード」のCDリリース後、同年9月に「24のエチュード全曲演奏会」を開催。またロンドン公演は「Musical Opinion」誌で高く評価された。
■藤田めぐみ ピアノ・リサイタル
3月27日(土) 14:00 サントリーホールブルーローズ
4月4日(日) 13:30 ザ・フェニックスホール(大阪)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第31、32番
ショパン:ピアノ・ソナタ 第2、3番
■問い合わせ:サントリーホールチケットセンター TEL:0570-55-0017
http://suntory.jp/HALL/
ザ・フェニックスホール チケットセンター TEL:06-6363-7999
いずれもライブストリーミング配信あり
テレビマンユニオン https://members.tvuch.com