交響曲・管弦楽曲・協奏曲
岡本稔◎音楽評論家
ジョン・ウィリアムズ/ベスト・セレクション
●映画「スター・ウォーズ」:エピソード4より、メイン・タイトル、王女のテーマ
/映画「スーパーマン」より、マーチ、愛のテーマ
/映画「ジョーズ」より、テーマ/映画「未知との遭遇」より組曲、他
ジョン・ウィリアムズ(指揮)
ボストン・ポップス・オーケストラ
(ユニバーサル)UCCD-4383 2160円
巨匠ジョン・ウィリアムズの代表作の自演のベスト盤
映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズのベスト・アルバム。1980年から86年の収録である。ボストン・ポップス・オーケストラの母体がボストン交響楽団であるのは周知のとおりだろう。その高い機能性と輝かしい響きをいかし、「スター・ウォーズ」エピソード4から6、「スーパーマン」、「ジョーズ」、「未知との遭遇」、「レイダース/失われたアーク」、「E.T.」の名旋律を聴かせている。表現は豊かだが饒舌に傾く直前に留まり、清々しさを保っているところにも好感が持てる。
ブルックナー:交響曲全集(交響曲第1番~第9番)「ヘルゴラント」
ダニエル・バレンボイム(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(ワーナー)WPCS-13302(9CD) 7560円
バレンボイムがベルリン・フィルを指揮したブルックナー全集
バレンボイムの指揮者としての存在感を強く印象付けたのは1970年代から80年代にかけて収録されたシカゴ交響楽団とのブルックナーの交響曲全集だった。ブルックナーの音楽を語る上でよく使われるのが「精神性」というキーワード。バレンボイムの功績は音楽をそれから解放し、より自然で親しみやすいものにしたこと。1990年代に収録された当全集ではさらにスケールが増し、音楽の流れも自然になっている。2月のシュターツカペレ・ベルリンとの来日公演にも期待したい。
室内楽・器楽
伊熊よし子◎音楽ジャーナリスト
イゴール・レヴィット:変奏曲の世界(バッハ、ベートーヴェン、ジェフスキ)
●バッハ:ゴールドベルク変奏曲●ベートーヴェン:ディアベッリのワルツによる33の変奏曲●ジェフスキ:「不屈の民」変奏曲
イゴール・レヴィット(ピアノ)
(ソニー)SICC-30245 4320円(3CD)
3つの変奏曲集を収録した重量級アルバム
2013年秋に「ベートーヴェン後期ソナタ集」をリリースして話題を呼んだレヴィットが、3枚組の変奏曲という衝撃の新譜を完成させた。「ゴールドベルク変奏曲」と「ディアベリ変奏曲」は、彼の特質である才気煥発で独創性に満ち、新たな道へと聴き手をいざなう演奏。ジェフスキの「不屈の民」変奏曲はクールで知的で客観性を帯びた演奏で、この作曲家を恩師と仰ぐレヴィットの敬愛の念が込められている。99の変奏が刻印された重量級のアルバムだ。
感動のショパン・コンクール・ライヴ
●ショパン:24の前奏曲 作品28/夜想曲 第13番/ピアノ・ソナタ 第2番 /ポロネーズ 第6番《英雄》
チョ・ソンジン(ピアノ)
(ユニバーサル)UCCG-1719 2808円
柔軟性に富む美音を発揮し作品の美質を浮き彫り
第17回ショパン国際ピアノ・コンクールの優勝者、チョ・ソンジンのライヴが登場。第3次予選の「24の前奏曲」、第1次予選の夜想曲第13番、第2次予選のピアノ・ソナタ第2番とポロネーズ第6番「英雄」が収録され、特有の柔軟性に富む美音を発揮している。チョ・ソンジンの演奏は正統的な奏法で、余分なものはいっさい付け加えない。楽譜に忠実な演奏だが、その奥にショパンに対する尊敬の念が強く感じられ、作品の美質が浮き彫りに。
オペラ&声楽
石戸谷結子◎音楽ジャーナリスト
サヴィーヌ・ドゥヴィエル/ラモー 壮大なる愛の劇場
●ラモー:歌劇「優雅なインドの国々」より「平和な森よ、来て、結婚の神よ」、
ほか全23曲
サビーヌ・ドゥヴィエル(ソプラノ)
アレクシス・コセンコ(指揮)
レ・アンバサドゥール、ほか
(ワーナー)WPCS-13316 2308円
ラモーの魅力を意欲的に示したフランスの個性的ソプラノ
デセイ、プティボンに続くフランスの新しい個性的なソプラノの誕生だ。コロラトゥーラ・ソプラノだというが、軽やかでどこまでも澄んだ伸びやかな声だ。このアルバムはラモーの知られざる作品も紹介しながらラモーの新しい魅力に迫る意欲的な1枚。抒情的なだけでなく、愛らしい表現やドラマティックな表現にも秀でて変幻自在。15曲以上ものオペラが次々と歌われ、さまざまな「愛のドラマ」を堪能できる。モーツァルト・アルバムも同時発売。