おすすめアーティスト vol.121 松田華音 牛田智大 ピアノ

vol.121 松田華音 牛田智大 ピアノ

気鋭の若手2人が2台ピアノのコンサート
松田「私たちの挑戦を楽しみにしてください」
牛田「ピアノの鮮やかな世界を聴いてほしい」

 松田華音と牛田智大が2台ピアノのコンサートを行う。松田は26歳、牛田は22歳という若き気鋭のピアニストだが、実績は十分。チラシのキャッチコピーは「透徹したピアニズムが交錯する」。当日、2人がどんな化学反応を起こすのか期待される。
 松田は子供のときからモスクワに渡り、ロシア・ピアニズムの中で育った。
 「グネーシン音楽学校で12年間習いました。どの先生からも、音楽で何を伝えるのか、これを芯として持つべきだ、と教わりました。芯を持ちさえすれば周りは自然とできてきます。テクニックは周りにあるものです。作品の良さ、世界観を引き出し、お客様に聴いてもらうのが私たちの役割です」
 牛田はクラシックのピアニストとして最年少の12歳でユニバーサルからCDデビュー。2018年の浜松国際ピアノ・コンクール第2位。モスクワ音楽院で名教師たちに習っている。
 「モスクワとは行ったり来たりしました。オーケストラの音をピアノで再現すること、より弦楽器的な音を出すことを学びました。クラシック音楽は時代の雰囲気、社会と結びついたものです。作品のメッセージは何なのか、まず自分で考えますが、作曲家が生きた時代のスタイルの特徴を勉強して理解することが大事です」と牛田は話す。
 2台ピアノで演奏するのは、ラフマニノフの組曲第1番「幻想的絵画」と、プレトニョフが編曲したプロコフィエフのバレエ組曲「シンデレラ」。「幻想的絵画」はラフマニノフがバイロンなどの詩にインスピレーションを受けて作曲され、4楽章に「舟歌」「夜と愛と」「涙」「復活祭」というタイトルがつけられている。ペローの童話に基づく「シンデレラ」は1945年に初演。管弦楽とピアノの組曲が作られた。
 「ラフマニノフの組曲は第1番と第2番があります。第1番はより幻想的で音楽が空気のように入ってきます。親しみやすい曲です」と松田。
 「『シンデレラ』は人間的な作品です。プレトニョフはオーケストラの響きを押さえた上、シャープな音楽で、甘さを削り取ったようです」と牛田。
 2人で2台ピアノを共演するのは初めて。
 「私たちの新しい挑戦を楽しみにしてください。ロシアのいろいろなニュアンスを皆様に自然な形で届けたい」と松田話した。牛田は「『シンデレラ』の近代的な響き、ピアノの鮮やかな世界を聴いていただきたい」と話した。

Kanon Matsuda

4歳でピアノをはじめ、6歳よりモスクワに渡り、グネーシン記念中等音楽専門学校に第1位で入学。エドヴァルド・グリーグ国際ピアノ・コンクール・グランプリ。2014年、モスクワ音楽院に日本人初のロシア政府特別奨学生として入学、首席で卒業し、19年、モスクワ音楽院大学院に入学、21年6月修了。

Tomoharu Ushida

2018年第10回浜松国際ピアノ・コンクールにて第2位。2019年第29回出光音楽賞受賞。 1999年、いわき市生まれ。2012年、クラシックの日本人ピアニストの中では最年少の12歳でユニバーサル ミュージックよりCDデビュー。 2022年3月にデビュー10周年を迎えてリサイタルを開催。

ここで聴く

松田華音×牛田智大 2台ピアノ・コンサート

■7月21日(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール

松田華音(ピアノ) 牛田智大(ピアノ)

J.Sバッハ(ブゾーニ編):コラール前奏曲「主よ、われ汝に呼ばわる」
(牛田智大ソロ)

チャイコフスキー:18の小品より第8番「対話」
第18番「踊りの情景」(トレパークへの誘い)
(松田華音ソロ)

ラフマニノフ:組曲第1番「幻想的絵画」(2台ピアノ)
プロコフィエフ(プレトニョフ編):バレエ組曲「シンデレラ」
(2台ピアノ)

問い合わせ:ジャパン・アーツぴあ TEL 0570-00-1212

■7月24日(日)15:00 入善コスモホール(富山)

問い合わせ:TEL 0765-74-2515

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