おすすめアーティスト vol.14 ピアノ 横山幸雄

vol.14 ピアノ 横山幸雄

ショパンの全ピアノ独奏曲など217曲を演奏
5月に東京オペラシティで「入魂のショパン」
「ショパンを一日中弾いていたいと思いました」

ショパン生誕200年の2010年、ショパンの全ソロ曲を1日で演奏するコンサートを行った。朝の9時から翌日の午前1時近くまで弾き続けるという偉業に周囲は驚くばかりだった。このギネス世界記録を認定された公演は、毎年、少しずつ形を変え、ゴールデンウイーク恒例のコンサートとなった。

「入魂のショパン2014」と題した今年の演奏会は、全ピアノ独奏曲211曲と協奏作品の独奏ヴァージョン6曲を、5月3日と4日の2日に分けて演奏する。両日とも午前11時から始まり、終演は午後9時半を過ぎる長丁場となる。

「19歳のときにショパン・コンクールで賞をもらったことが演奏活動を始めるきっかけになりました。入賞者はショパンばかり弾かされて、飽き飽きするといった主旨の記事を読んだ記憶がありますが、私はショパンに飽きるということがあるのかな、と思いました。20代のころ、ショパンのすべての曲を弾いた上でショパンが理解できたらいい、と思いました」

1999年のショパン没後150年に合わせ、7年かけて東京や大阪、福岡で年に2回、ショパンの全曲演奏会を行った。

「だいたい年代順に弾いていきました。振り返ってみると、最初のころ演奏した曲は忘れていました。もう少し短期間でできないかと思いました」

2005年にベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲演奏会を1日で行ったこともショパンの演奏会につながっている。

「コンチェルト3曲目ぐらいから、普段の演奏会とは違ったテンション、気持ちになりました。ずっとアンコールを弾き続けているようないいテンションです。5番のころは、このままずっと終わらなければいいのに、と感じました。音楽は量より質ですが、数を増やすことで到達できる違った質もあることに気付きました」

今回弾く全217曲は3分の1が普段から弾いている曲、3分の1は取り上げたことがある曲、残り3分の1は全曲演奏会でないと出てこない作品という。これをすべて暗譜で演奏する。

「ショパンを深く演奏するというコンセプトで始めたので、ある程度自分のものになっていないといけません。覚えることが難しいのではなく、覚えたことを間違いなく再現することが難しい。一番難しいのはリハーサルができないことです(笑い)。一般的には特殊な演奏会でしょうが、一日中ショパンを弾いていたいという自然発想的なアイデアから生まれました」

Yukio Yokoyama

1971年東京生まれ。16歳で渡仏後、89年ブゾーニとロン=ティボー国際コンクールに上位入賞。90年パリ国立高等音楽院卒業。同年秋、19歳のときにショパン国際コンクールにおいて日本人として最年少入賞。新日鐵音楽賞フレッシュアーティスト賞、モービル音楽賞奨励賞、文化庁芸術選奨文部大臣新人賞などを受賞。ポーランド政府よりショパン生誕200年の年に世界で100名の芸術家に贈られる「ショパン・パスポート」が授与された。上野学園大学教授、エリザベト音楽大学客員教授。

ここで聴く

横山幸雄 入魂のショパン2014
5月3日(土・祝)、4日(日・祝)
朝の部11:00 昼の部13:00
夜の部18:00
東京オペラシティコンサートホール
2日通し券16,000円 1日通し券10,000円
各日朝の部3500円 昼の部/夜の部4500円
■問い合わせ:ジャパンアーツぴあ
電話 03-5774-3040 www.japanarts.co.jp/

■CD
プレイズ・シューマン2014
クライスレリアーナ、他
(ソニー)MECO -1020
(SACDハイブリッド) 4月リリース予定

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