vol.55 指揮 サントゥ=マティアス・ロウヴァリ
フィンランドのタンペレ・フィルを率い初来日
「フィンランディア」やグリーグのピアノ協奏曲
「フィンランド人が表現するシベリウスを感じて」
フィンランドのタンペレ・フィルが若き名匠ロウヴァリに率いられて初来日する。フィンランド第2の都市タンペレはムーミン美術館があることでも知られる。ホール・ホワイエにはムーミンの原画と複製画が展示される。
── プログラムは、シベリウスの「フィンランディア」やヴァイオリン協奏曲、グリーグのピアノ協奏曲など、日本人が大好きな作品です。
「フィンランディア」はフィンランド人にとって、とても重要な曲です。シベリウスは20世紀初頭にフィンランドのプレスの祝賀のために作曲しました。元々は、〝Finland awakens〟(フィンランドの目覚め)というタイトルで、この曲の特徴をよく物語ったタイトルでした。私もフィンランドにいる他の指揮者と同じように、何度も何度もこの曲を指揮しました。毎回楽しみでもありました。ですので、フィンランドの音楽を伝えるためには、冒頭にこの曲を演奏する事が一番だと思いました。
ヴァイオリン協奏曲はとても興味深い曲です。美しさと憂鬱さの裏に、とても素晴らしい音楽が隠されています。シベリウスは、フィンランドの民俗音楽を彼独特の作曲技法にもたらしました。この協奏曲はその良い例です。このように民俗音楽のスパイスを加えることで、更に素晴らしい音楽が生まれます。
──2013年8月にタンペレ・フィルの芸術監督に就任しました。今回が初来日です、オーケストラの個性を教えてください。
タンペレ・フィルは、フィンランドらしさを感じていただけるオーケストラです。私たちのコンサートでフィンランド人が表現するシベリウス音楽を深く感じていただければと思います。フィンランドの他のオーケストラと比較しても、タンペレ・フィルはとてもフィンランドらしいハーモニーを奏でます。この素晴らしいオーケストラと良い音楽を作ることは、私にとって最もやりがいのあることです。
── シベリウス音楽院でパーカッションと作曲を学んだそうですが、子供のころから指揮者を目指していたのでしょうか。
私の両親はラハティ交響楽団で働いていました。ですので、私はよくリハーサルを聴きに行きました。とても小さい頃から数えきれない程のリハーサルを聴いていたのです。その中でも指揮者やパーカッション奏者の仕事に、心を 惹 かれ、指揮者になろうと思いました。そして今の私があります。
── 今秋、スウェーデンのイェーテボリ交響楽団の首席指揮者に就任します。シンシナティ響などと共演し、今後は北欧以外の活動が増えるのでしょうか?
タンペレ・フィルとの契約は2019年夏までです。ですが、その後も継続できるよう交渉中です。おかげさまで近年はたくさんの国で指揮する機会が増えました。タンペレ・フィルやイェーテボリ響を指揮していない時は、他の所で指揮しています。今シーズンのハイライトは、北アメリカを訪問した事やフィルハーモア管弦楽団と首席客演指揮者の契約を結んだ事です。そして何よりもタンペレ・フィルを連れ日本で再び指揮できる事です。私の目標は世界中の素晴らしいオーケストラと共に良い音楽を創り上げることです。
Santtu-Matias Rouvali
タンペレ・フィル首席指揮者。シベリウス音楽院で、レイフ・セーゲルスタム、ヨルマ・パヌラ、ハンヌ・リントゥに師事。コペンハーゲン・フィルの首席客演指揮者。2016/17シーズンは、BBC響、ベルリン・ドイツ響、バンベルク響などを指揮。17/18年シーズンからイェーテボリ響の首席指揮者に就任。ローザンヌ室内管とヨーロッパ・ツアーを行う。日本には東京交響楽団に2度客演している。CDはバイバ・スクリデ(ヴァイオリン)とタンペレ・フィルとのシベリウスのヴァイオリン協奏曲などがある。
タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団
5月19日(金)、23日(火) 19:00 東京文化会館 大ホール
5月20日(土) 15:00 ふくやま芸術文化ホール(広島)
5月24日(水) 19:00 アクトシティ浜松 中ホール
5月25日(木) 19:00 ザ・シンフォニーホール(大阪)
東京(19日)、広島、大阪
シベリウス:フィンランディア/交響曲第2番
※東京(23日)、浜松の交響曲は第5番
東京(19日)、広島、浜松
グリーグ:ピアノ協奏曲(田部京子)
東京(23日)、大阪
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲(堀米ゆず子)
■問い合わせ:プロ アルテ ムジケ 電話03-3943-6677