vol.67 チェロ 宮田大
佼成ウインドでグルダのチェロ協奏曲を演奏
「ドラムやギターが入ったイケイケの曲です。若い2人が出演するので若い方に聴きに来てほしい」
「チェリストにとってはレパートリーです。ドラムやギターが入ってロックやジャズのようにイケイケの曲です」
4月に東京佼成ウインドオーケストラと共演するフリードリヒ・グルダの「チェロと吹奏楽のための協奏曲」(1980年)について、こう話す。グルダがチェリスト、ハインリヒ・シフに頼まれ作曲した。5楽章からなり、順に「序曲」「牧歌」「カデンツァ」「メヌエット」「終曲 行進曲風に」とタイトルが付けられている。
「2楽章の『牧歌』はアルプスの山々が見えるようです。民謡風の歌やワルツが出てきます。『カデンツァ』は12、3分のカデンツァが書かれているのですが、その中の2カ所の短い部分をアドリブで演奏しなければいけません。4楽章の『メヌエット』はフラメンコを踊るような雰囲気。フルートとの掛け合いは、フルートを模してチェロを弾きなさい、と指定されています。不協和音は1つもない、約30分の曲です」
宮田はこれまで、京都市交響楽団、札幌交響楽団でこの曲を演奏してきた。今回が3度目。
「5本の指に入るぐらい難しい曲です。グルダはチェロのことをよく知っていたのかも知れません。楽譜通りに弾かず、少しずらしたりしながら、ジャズ独特のニュアンスを出すことが難しい。お客様を楽しませる自信はあります」
今回の指揮は川瀬賢太郎。2人は2016年4月に東京佼成ウインドオーケストラで初共演、ヨハン・デ・メイの「カサノヴァ~チェロとウインドオーケストラのための~」を演奏した。
「一緒にまたやりましょう、と言って下さって今回、実現しました。川瀬さんは初めての曲だったそうです。音楽的に川瀬さんにしかできないものを感じました。2人とも30代で年も近く、楽しい時間を過ごせました」
宮田はこのとき東京佼成ウインドオーケストラの〝ファン〟になり、他の演奏会にも足を運んでいる。
「佼成ウインドとは一緒に音楽を作る楽しさを感じました。オーケストラの弦楽器の方は呼吸しないで弾く人が多いのです。佼成ウインドは管楽器ですから、フレーズの初めの呼吸が全部一緒なのです。音楽は呼吸なのです。息を吸って弾く楽しさを感じました。一般のオーケストラは新しい作品を弾く機会はあまりありませんが、佼成ウインドでしたらできます。若い2人が演奏するグルダの作品は若い方に聴いてほしい」
Dai Miyata
宇都宮市出身。音楽教師の両親のもと3歳よりチェロを始める。第74回日本音楽コンクール第1位。2009年、第9回ロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで日本人として初優勝。第6回斎藤秀雄メモリアル基金賞、第20回出光音楽賞、第13回ホテルオークラ音楽賞。桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースを首席で卒業。09年にジュネーヴ音楽院卒業、13年6月にクロンベルク・アカデミー修了。倉田澄子、フランス・ヘルメルソンに師事。使用楽器は、上野製薬より貸与された1698年製ストラディヴァリウス「シャモニー」。
東京佼成ウインドオーケストラ
第138回定期演奏会
4月21日(土) 14:00 東京芸術劇場
指揮:川瀬賢太郎
チェロ:宮田大
グルダ:チェロと吹奏楽のための協奏曲
フェルラン:交響曲第2番「キリストの受難」
■問い合わせ:
東京佼成ウインドオーケストラチケットサービス
電話.0120-692-556
FAX.03-5341-1255