おすすめアーティスト vol.74 メゾ・ソプラノ 杉山由紀

vol.74 メゾ・ソプラノ 杉山由紀

ニッセイ・オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」に出演
「ドラベッラは自分に素直に生きています。
歌っていない時も天真爛漫な性格を見せたい」

 11月に公演されるニッセイ・オペラのモーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ、あるいは恋人たちの学校」でドラベッラを歌う。
 「ドラベッラを全曲をカットなしで歌うのは初めてです。ドラベッラは自分に素直に生きています。人の目を気にしません。明るいキャラクターは、私があこがれる存在です。私自身は正反対で、周りの目が気になる性格です。レッスンの時、コレペティトゥアの田島 亘祥ひろよし先生に、人の目を気にしなければよい歌が歌えます、と言われたのですが、自分を解放して歌うことはなかなか難しいです」
 姉フィオルディリージよりも積極的なドラベッラ。恋人たちが戦場に行ってしまうと、ドラベッラは新たな恋に突き進む。
 「当時とは社会的背景が異なり、様々な生き方がある現代の私たちには、最後の『女はこんなもの』という歌は、少しカチンと来るかもしれませんが(笑い)。でも『コジ・ファン・トゥッテ』はモーツァルトの中でも好きな作品です。それぞれの人物が交錯するアンサンブルが魅力です。他の作曲家は感情の爆発のあるところを大抵フォルテで書きますが、モーツァルトは違います。そこが味のあるところです」
 高校の音楽の先生に勧められ武蔵野音楽大学に進学した。初めは歌手になろうとは考えてもいなかった、という。

ライプチヒ歌劇場との提携公演
東京二期会オペラ劇場 NISSAY OPERA 2016 提携
「ナクソス島のアリアドネ」(2016年11月)
写真:三枝近志

 「母親は中学の音楽の教師ですが、私はピアノは小学校でやめてしまいました。音楽の先生になろうかな、と思って進学したのですが、小畑朱実先生の『カルメン』を見て感動しました。私もあの舞台に立ちたい、と思ったのです。ドイツ・リートにはまり、大学院に進学しました。オペラの演技は二期会の研修所に入ってから勉強し、様々なキャラクターを演じる楽しさを知りました。特に、ふだん絶対に言わない、強烈なせりふを言えるのがたまらないです」
 宝塚歌劇団の舞台やアニメも演技やキャラクター作りの参考にしている。今回の菅尾 ともの演出は人工知能(AI)が関わっているらしい。
 「タイトルロールを歌わせてもらったヘンデル『ジューリオ・チェーザレ』が菅尾さんの演出でした。アイデアが盛り込まれていてすごかった(笑い)。ドラベッラは最初は、そんなことはありえない、と新しい恋を否定するのですが、すぐに積極的にその恋を受け入れるようになる。この気持ちの変化が見せられたら、と思います。歌っていない時も天真爛漫らんまんな性格が出るように、生きているドラベッラを演じたい」

Yuki Sugiyama

埼玉県出身。武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。二期会オペラ研修所第56期マスタークラス修了時に最優秀賞。
第63回全日本学生音楽コンクール全国大会大学・一般の部第1位。第9回藤沢オペラコンクール奨励賞、第25回友愛ドイツ歌曲コンクール第3位及び日本歌曲賞。第3回日光国際音楽祭声楽コンクール大賞・審査員長賞。2015年、二期会ニューウェーブ・オペラ劇場「ジューリオ・チェーザレ」タイトルロールで二期会オペラ・デビュー。
16年、東京二期会オペラ劇場「ナクソス島のアリアドネ」作曲家役で出演。二期会会員。

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日生劇場開場55周年記念公演
NISSAY OPERA 2018
モーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」

11月10日(土)、11日(日) 各日13:30
日生劇場(東京)
指揮:広上淳一  演出:菅尾友
読売日本交響楽団
            10日     11日
フィオルディリージ  嘉目真木子  髙橋絵理
ドラベッラ      高野百合絵  杉山由紀
フェルランド     市川浩平   村上公太
グリエルモ      加耒徹    岡昭宏
デスピーナ      高橋薫子   腰越満美
ドン・アルフォンソ  与那城敬   大沼徹

10日は予定枚数終了、11日は残席僅少
■問い合わせ:日生劇場 電話 03-3503-3111

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